エコパスコラム

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企業はなぜ生物多様性を保全しなければならないのか?(No.1)

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企業活動と生物多様性との関係

現代においてもまだ、森林や海洋などの資源開発、陸地や河川、海洋の汚染、国内外の移入種などの問題が続き、生物多様性は急速な喪失が懸念されています。企業活動から考えてみると、多くの企業は、自然界から鉱物や木材、油、食糧、水、食糧などの自然資源を利用し、製品を生産していること、さらに市場に出た商品の最終消費者が消費、廃棄、排出するまでを含め、企業のライフサイクル全体が生物多様性に依存し、影響を与えていることがわかります。

企業の工場で使用する原料は他の国から調達されることが多く、木材や紙の場合はインドネシアやアフリカ、ロシア、オーストラリア等の森林から切り出された木材であり、天然林・人工林問わず、森林内外への環境や社会への影響があります。下の写真は、筆者がコンゴ共和国を訪ねたときに見た、熱帯林から切り出された天然木材ですが、搬出先は欧州や中国であっても、家具材や加工品は欧州や中国から日本にも輸出されています。化粧品や食品、加工材料等で使用される多くの油はマレーシアやインドネシアのパーム油であり、カリマンタン島やスマトラ島でのパームヤシ・プランテーションから採取され、精製された油であり、栽培される土地やその周囲では野生生物のほかに地域住民の生活を脅かす社会への影響も知られています。日本に輸入される鉄鉱石の多くはオーストラリアやブラジル等の鉱山から採掘されたものです。鉱山開発の際、露天掘りや廃石による自然や地域住民に影響を及ぼしています。このように、自然の原料を使用する場合には、あらゆる産業の製品製造のサプライチェーンのすべての段階で、生物多様性から生み出された生態系の恵みに依存していることになり、何等かにおいて生物多様性への影響が考えられます。

永石1

熱帯林の天然木材(コンゴ共和国 2012年9月)

 

永石2

パームヤシのプランテーション(インドネシア 2014 年3月)

 

生態系サービスと企業の事業活動

2005年に発表された「ミレニアム生態系アセスメント」の報告にあるように、基本的なレベルで、経済とビジネスは直接的あるいは間接的に生態系サービスに依存しています。生物多様性は、企業が事業活動を行ううえで、さまざまな生態系サービスを供給し、便益をもたらしています。生物多様性は、水や食糧など供給的な生態系サービスの直接的及び間接的恩恵と同時に、気候の調節や水の浄化など調整的な生態系サービスによる生態系リスクや汚染などに対する自然環境の回復力にも機能しています。したがって、生物多様性や生態系サービスを保全するということは、生態系が健全化することであり、生態系サービスが持続的に供給されることになります。その結果、企業は生物多様性の保全によってすべての経済が依存する生態系サービスを持続可能にすることができます。逆に、生物多様性の損失が進むことは、社会全体の持続可能性を脅かし、企業の事業活動の持続可能性に甚大な影響を及ぼすことになります。

By 永石

 

◆参考とした書籍

環境省自然環境局編集(2009)生物多様性民間参画ガイドライン、環境省

永石文明(2009)生物多様性、サステナビリティと本質的CSR、三和書籍

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