エコパスコラム

企業の生物多様性の取り組みに役立つ情報を更新していきます

2017年6月27日
から Kitazawa
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7/29 重富の森と錦江湾セミナーのお知らせ(鹿児島県)

JTの森大学実行委員会の主催により、重富の森と錦江湾セミナーが開催されます(2017年7月から隔月4回の開催を予定)。

鹿児島県姶良市脇元の白銀坂沿いに広がる「JT の森 重富」では、姶良カルデラや錦江湾の雄大な景色、ゆたかな森の動植物たち、さらには樟脳や清涼な水など森がもたらす豊かな恵みや地域文化を感じることができます。

経験豊富な講師陣とともに森を歩き、森への理解を深めることで、これまで気づかなかった地域の魅力を見つめなおしてみませんか。

【詳細チラシ → コチラ

【イベント内容】

第1 回 7 月29 日(土)9:15 ~ 16:00
「地形・地質から見る森の姿」
【講師】鹿児島大学理学部名誉教授 大木公彦氏
【集合】鹿児島県姶良市脇元地区公民館(受付9時~)
【対象】自然に興味があり山道を歩ける方
【服装・昼食】ハイキングができる格好。昼食は各自ご準備ください
【備考】少雨決行。大雨の際は、室内講義に変更します。
【スケジュール】
9:00- 9:15  受付
9:15- 9:30  開会、概要説明、移動
9:30-12:30   フィールドワーク(姶良カルデラや錦江湾の地形・地質観察)
12:30-13:30 (昼食)
13:30-15:45  室内講義(脇元公民館にて)
15:45-16:00 まとめ、解散

第2 回 9 月 9 日(土)
「いきもの調べで森を知る」
講師:鹿児島森林組合連合会 南尚志氏ほか

第3 回 11 月25 日(土)
「クスノキ林に秘められた歴史と文化」
講師:姶良市企画政策課 下鶴弘氏

第4 回 2018 年1 月予定
「森と土と水のめぐみ」
講師:調整中

 

【申込・問合先】
第1 回に参加されない場合も含め、7月24日までに下記までお申し込みください
鹿児島県森林組合連合会 担当:南(JT の森大学実行委員会事務局)
〒892-0816 鹿児島市山下町9 番15 号 電話:099-226-9471 FAX:099-223-5483
メール:minami-takashi@kamoriren.or.jp
※参加ご希望の方は、お名前、ご連絡先(住所・電話・FAX・メール)、および第1回~4回までの参加希望(予定で構いません)をお知らせください。申込詳細はチラシ裏面をご覧ください。

 


(JTの森重富さくら見晴台より桜島を望む)

2017年5月14日
から Kitazawa
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7/5 連続セミナー「環境保全の現場から見えてくるSDGs 【第1回】生物多様性からSDGsが見えてくる」

(株)エコロジーパス・(株)クレアンの共催にて、CSRに悩む企業のための連続セミナー「環境保全の現場から見えてくるSDGs 第1回生物多様性からSDGsが見えてくる」を開催いたします。

これから環境保全活動を始めようとする企業のご担当の方や、活動をもう一度見直したいという方などに向け、SDGsの取り組みや自社の事業との関連、また社内浸透などでお困りの問題について、解決への糸口が得られ、またお互いに情報交換のできるセミナーを目指してまいります。

第1回「生物多様性からSDGsが見えてくる」

【日時】 平成29年7月5日 ㊌ 14:00~16:30

【場所】 地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)セミナースペース(東京都渋谷区神宮前5-53-70 国連大学ビル1F)

【対象】人事・環境・CSR・調達・広報・総務ご担当者

【定員】20名

【参加費】無料

【お申込み】申込フォーム → コチラ

プログラム

14:00-14:05 開会

14:05-14:35 企業にとってSDGsとは何か?  ㈱クレアン 冨田 洋史

14:35-14:55 生物多様性を守らずにSDGsは達成できるか? ㈱エコロジーパス取締役・生物多様性コンサルタント 北澤 哲弥

14:55-15:10 休憩

15:10-16:25 意見交換・事例「生物多様性保全活動のはじめ方、教えます」 ㈱エコロジーパス環境経営コンサルタント 金澤 厚

16:25-16:30 閉会

【チラシ】

ダウンロードはコチラ

 

【第2回以降の予定】

第2回 フィールド体験「都市公園の はらっぱ保全~身近な場所か ら考えるSDGs~」 ※9月開催予定

10月以降も生物多様性やSDGs に関するセミナーの開催を予 定しております。最新情報は 弊社トップページでご案内いたします

 

2017年4月21日
から Kitazawa
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企業人のためのエコロジー入門 No.5「日本は世界のどの地域で生物多様性に影響を与えているか?」

グローバル経済の下、経営の効率化や安定化を図るためにサプライチェーンの複雑化が進んできました。自社の取引相手が国内企業のみであったとしても、広い目で見れば世界的なサプライチェーンの中に組み込まれていることも多いのではないでしょうか。このことを考えると、外国で起きている生物多様性の危機において、日本の企業も無関心でいることはできません。

 

自社のサプライチェーンが生物多様性に及ぼす影響を、どのように評価すればよいのでしょうか。まず思いつくことは、自社の取り扱う原材料やサプライヤーの情報整理です。原材料や素材ごとに、どれくらいの量をどの地域から仕入れているのか、といった情報をまとめます。単純に考えれば、仕入れる量が多いほどその地域の生物多様性に与える影響が大きくなります。

ただし、動植物は地球上に一様に分布しているわけではありません。地域によって偏りがあります。たとえば希少な動植物が多く暮らす自然保護区やその周辺地域で事業活動が行われている場合、別の場所と比べて事業が生物多様性に及ぼす影響度が大きくなる可能性が高い、ということです。もちろん公的な自然保護区に指定されていなくとも、地域の水源となっている森や、コミュニティーにとって重要な場所などもあります。こうしたローカルスケールの視点を持って情報収集を行うことは、地域に根差した事業を行うためには大切なことです。

サプライチェーンを通した生物多様性への影響を評価するためには、事業に関わる情報だけではなく、生物多様性に関わるローカルな情報を合わせて考えることが大切です。

 

ところで、日本のサプライチェーンはどの地域に大きな影響を及ぼしているのでしょうか。日本企業が特に気を付けるべき地域が明らかになっているのであれば、企業にとってもサプライチェーンマネジメントを進めるうえでの参考となります。そのベースとなる情報を、今年2017年1月に発表された「グローバル・サプライチェーンがもたらすホットスポット(動植物が危機にある場所)の可視化」という論文に見つけました(Moran & Kanemoto, 2017)。

この論文では、IUCN(国際自然保護連合)が公表しているレッドリスト記載種の分布と危機の要因に関する情報および貿易統計等の情報を、産業関連表を用いて統合し、絶滅危惧種の脅威となっている原因の何%をどの国のどの産業が引き起こしているのかを関連付け、その情報を生物多様性フットプリントマップとして視覚化しています。

下図のうちcが日本の影響を示すマップで、陸上では紫が濃いほど、海域では青から黄色みが強くなるほど、影響度が高いことを示しています。この論文では、パプアニューギニアおよびその周辺海域、マレーシア(半島およびボルネオ島)、ブルネイ、タイ、ベトナム、スリランカなどの東南アジア諸国に対して、日本が特に強い影響を与えている、と報告されています。これらの中でも最初に名前が挙げられたパプアニューギニアは、日本への年間輸出額が2187億円で、タイ2.2兆円やマレーシア1.9兆円などと比較して10分の1程度にすぎません(数値は2016年、財務省貿易統計より)。それなのに、日本の影響度が最も高い地域とされていることは、パプアニューギニアの生物多様性が豊かであると同時に、他地域よりも相対的に影響度が大きい活動が行われていることを示しています。

 

この論文は、生物多様性の保全において日本が特に責任を持つべき地域を明確にしたと言えます。生物多様性の持続可能な利用、あるいはSDGs12に明記された責任ある生産と消費は、特に企業が主体となって解決すべき社会課題です。この課題を解決するためには、既存のサプライヤーの事業活動を評価し、生物多様性への影響度が高い場合は事業を改善させることや、場合によっては影響度の低い地域へサプライチェーンを変更することなどが挙げられます。こうした取り組みを通して、日本の企業が世界各地の生物多様性の保全の担い手になることが期待されています。

 

◆引用・参考資料◆

Moran & Kanemoto(2017)Identifying species threat hotspots from global supply chains, Nature Ecology & Evolution 1, Article number: 0023

財務省貿易統計国別総額表 (2017年4月18日確認)

 

(by 北澤 哲弥)

2017年2月27日
から Kitazawa
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企業人のためのエコロジー入門(No.4「SDGsと生物多様性 その2」

前回、SDGsの目標同士の関係性について紹介しましたが、目標について理解が進んでくると、日本ではどの目標がどれくらい取り組まれているのか、あるいはどの国で取り組みが進んでいるのか、といった現状も気になってきます。ドイツのベルテルスマン財団は、世界のSDGsへの取り組み状況をまとめた”SDGs index and dashboard”を2016年に発表しました。SDGsの目標とターゲット全てを包括するものではありませんが、大まかな進捗を目標別・国別に把握するうえで大変参考となる情報です。

 

 

表 日本におけるSDGs達成状況の評価

17のSDGs全ての進捗状況を平均スコア化したSDG indexによると、現時点で最も目標達成に近づいている国はスウェーデンで、欧州諸国が上位を占めています。日本は20位で、アジア各国の中では最も進んだ国として評価されています。しかし目標達成に向けて本当に大事なことは、他国との比較ではなく自分たちの進み具合です。そこでSDG dashboardで日本の進捗状況を目標別にみると、達成していると評価された目標が3つあったのに対し、達成にほど遠い目標が7つもありました。日本は世界的に見て進んでいる方ではありますが、国内にも目標達成に向けた課題がまだまだ山積していることがわかります。

 

このSDG dashboardでの日本の評価と、TEEBの統合的アプローチの概念をあわせて考えると、日本がどの分野で取り組みが進み、どの分野で出遅れているかを明らかにできます。上図を見ると、比較的取り組みが進んでいるのは「経済」の分野で、4つの目標はそれぞれ目標に達していることを示す緑色と目標への道半ばの黄色の評価を受けていることがわかります。しかし「経済」を支える「社会」の分野になると、達成にほど遠いことを示す赤色の評価を受けた目標が一部に見られ、さらに「社会」を支える「環境」分野では4つの目標のうちの3つを赤が占めています。このことは、人間社会を支える生態系サービスとその源である陸海域の生物多様性保全の重要性が叫ばれているにもかかわらず、取り組みが進んでいないことを示しています。企業にとって直接的に関係する課題は「経済」や「社会」分野であり、「環境」の課題は関係ないと思っていることが、分野間での進捗状況の差を生み出しているのかもしれません。

こうした状況にあるからこそ、SDGsの統合的なアプローチの重要性(前回参照)を理解することが企業には求められます。本業に直結する目標に対応することは確かに重要ですが、企業を支える社会、社会を支える環境の課題解決に取り組むことも自社の持続可能性を高めるうえで不可欠という意識を持たなければなりません。

日本経済の基礎を築き上げた渋沢栄一は、著書「論語と算盤」の中で以下のように述べています。

『正しい道理で稼いだ富でなければ、その富は永続できない。利益(算盤)と道徳(論語)は決して矛盾しない』

不確実性が高まっている現代において、企業のサステナビリティを考えるうえで、この指摘は非常に示唆に富んだものだと思います。SDGsの統合的アプローチは「利益と道徳を両立させる企業経営」という渋沢栄一の視点を、改めて企業に問いかけているのではないでしょうか。

 

◆引用・参考資料◆

TEEB website < http://www.teebweb.org/sdgs/>(2017年2月24日現在)

SDG INDEX & DASHBOARDS website < http://www.sdgindex.org/>(2017年2月24日現在)

渋沢栄一 (著), 守屋淳 (訳)(2010)現代語訳 論語と算盤, 256頁, 筑摩書房

 

(by 北澤 哲弥)

2017年2月14日
から Kitazawa
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企業人のためのエコロジー入門(No.3「SDGsと生物多様性」

「SDGs(持続可能な開発目標)の文脈で生物多様性活動をどう位置づければよいのか」、「わが社は生物多様性に関するSDGs課題とは関係がなさそうだ」など、SDGsと生物多様性の関係について様々な声がきかれるようになりました。SDGsを用いて社会課題を明確化し、世界全体で取り組んでいくという現在の流れについては、私も賛成です。しかしその流れの中で、特に日本企業では生物多様性への意識が希薄になっている感じを受けます。なぜ生物多様性の保全が社会課題とされるようになったかを再認識し、そのうえでSDGsの達成に生物多様性はどのような役割を果たすのか、考えてみたいと思います。

生物多様性の価値は長い間、経済システムの中で正しく評価されず、「外部不経済」状態が続いてきました。その結果、森林や干潟、サンゴ礁といった生態系が減少・劣化し、大気や水の浄化機能などの生態系サービスが低下しています。気候変動や水リスクなど、様々な環境課題が顕在化してきたのはこのためです。2005年に国連がまとめたミレニアム生態系評価は、生物多様性の劣化によって顕在化したリスクが、特に社会的な弱者(女性、子供、貧しい人々など)の福利を低下させていることを指摘しました。すなわち、生物多様性の劣化とそれに伴う生態系サービスの低下が、貧困や女性、子供などに関わる社会課題を引き起こす一因にもなっているのです。

SDGsの17ゴールについて考える際も、この考え方は大切なヒントを与えてくれます。この図は、TEEB(「生態系と生物多様性の経済学」に関する国際プロジェクト)がSDGsと生物多様性の関係を整理したものです。生物多様性に直結する海域生態系(目標14)と陸域生態系(目標15)、生態系サービスに関わる水(目標6)と気候変動(目標13)は地球の「生物圏(Biosphere)」に関わる目標です。この生物圏に支えられて社会(Society)が成立し、その社会に支えられて経済(Economy)が動いているという3層構造が示され、すべてのSDGsはこの中に位置づけることができます。TEEBは「SDGsの目標はこのような相互関係を持つため、分けて考えることはできない」と、統合的なアプローチの重要性を指摘しています。

このように生物多様性は社会や経済を支える存在であり、関係性の強弱はあるとしても生物多様性と無関係な企業や個人はありえません。SDGsを用いて自社事業と社会課題の関係性を整理する企業は確実に増えてきています。その際は、SDGs間の関係性を考慮しながら整理を進め、自社の事業として取り組むべきこととともに、関係はやや薄くても解決すべき社会課題も明確化することが求められます。

 

◆引用・参考資料◆

Millennium Ecosystem Assessment (2005) Ecosystems and Human Well-being: Synthesis. World Resources Institute. Island Press, Washington DC.

TEEB website < http://www.teebweb.org/sdgs/>(2017年2月9日現在)

 

(by 北澤 哲弥)

2016年10月9日
から Kitazawa
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【Special Field Event】 19 Nov. Nature & culture in the Japanese SATOYAMA countryside

Enjoy a late autumn hike in the beautiful Japanese countryside !

Special field event “Nature and culture in the Japanese Satoyama countryside” will be held on 19th November, 2016.

In this outdoor event you will hike around traditional agricultural landscape at Yoshioka district where the order between Yotsukaidou City and Chiba City.

On this 6 km hike we will stroll leisurely along narrow country roads bordered by rice paddies, vegetable fields and oak%e9%87%8c%e5%b1%b1%e9%a2%a8%e6%99%af%e5%90%89%e5%b2%a1 woodlands rich in fruits and deep in autumn color. We will search for egrets, woodpeckers and other countryside birds; and learn how to catch and identify Japan’s famous “aka-tombo” red dragonflies. The hike includes visits to small local shrines and temples, where we will delve into Japan’s rich traditional folk spirituality. Lunch will be taken at a working farmstead with magnificent old wooden buildings.

The hike leader, Dr. Kevin Short, is a professor at nearby Tokyo University of Information Sciences. He has lived in Chiba Prefecture for more than 30 years, and is a bilingual expert on Japanese nature, folklore and spiritual culture.%e7%84%a1%e9%a1%8c

 

【Date】 19 November, 2016  10:00 – 15:30

【Place】 Yoshioka district in Yotsukaidou City

【Meeting】 Main gate of Tokyo University of Information Sciences 10A.M.

【Language】English

【Capacity】 First 25 applicants

【Host group】 Satoyama Share Project

【More Details & How to apply】 See below

Brochure 1: yoshioka-frontside-eng

Brochure 2: yoshioka-backside-eng

2016年10月9日
から Kitazawa
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【野外イベント】11/19(土)英語でめぐる秋の里山 自然と文化ツアー

%e9%87%8c%e5%b1%b1%e9%a2%a8%e6%99%af%e5%90%89%e5%b2%a111月19日(土)に、千葉市~四街道市にかけて昔ながらの里山が残る吉岡地区において、「英語でめぐる秋の里山 自然と文化ツアー」をおこないます。吉岡地区を巡り、里山に暮らすさまざまな生きものを散策したり、社寺・農家を訪問することなどを通して、日本の里山の自然と文化を体験し、理解を深めます。

インタープリターは、東京情報大学教授のケビン・ショートさん。千葉に30年以上住み続け、日本の自然や民俗、精神文化に精通したケビンさんが、当日、日本の里山の魅力を英語で掘り下げてお伝えします。

【日時】 2016年11月19%e7%84%a1%e9%a1%8c日(土)10:00~15:30

【場所】 四街道市吉岡の里山

【集合】 東京情報大学正門 10時

【対象】 先着25名(外国の方を対象としていますが、日本の方も参加できます)

【言語】 英語

【詳細&申込み】 以下のチラシをご覧ください。

チラシ表 yoshioka-frontside-eng

チラシ裏 yoshioka-backside-eng

2016年6月6日
から nagaishi
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企業はなぜ生物多様性を保全しなければならないのか?(No.1)

企業活動と生物多様性との関係

現代においてもまだ、森林や海洋などの資源開発、陸地や河川、海洋の汚染、国内外の移入種などの問題が続き、生物多様性は急速な喪失が懸念されています。企業活動から考えてみると、多くの企業は、自然界から鉱物や木材、油、食糧、水、食糧などの自然資源を利用し、製品を生産していること、さらに市場に出た商品の最終消費者が消費、廃棄、排出するまでを含め、企業のライフサイクル全体が生物多様性に依存し、影響を与えていることがわかります。

企業の工場で使用する原料は他の国から調達されることが多く、木材や紙の場合はインドネシアやアフリカ、ロシア、オーストラリア等の森林から切り出された木材であり、天然林・人工林問わず、森林内外への環境や社会への影響があります。下の写真は、筆者がコンゴ共和国を訪ねたときに見た、熱帯林から切り出された天然木材ですが、搬出先は欧州や中国であっても、家具材や加工品は欧州や中国から日本にも輸出されています。化粧品や食品、加工材料等で使用される多くの油はマレーシアやインドネシアのパーム油であり、カリマンタン島やスマトラ島でのパームヤシ・プランテーションから採取され、精製された油であり、栽培される土地やその周囲では野生生物のほかに地域住民の生活を脅かす社会への影響も知られています。日本に輸入される鉄鉱石の多くはオーストラリアやブラジル等の鉱山から採掘されたものです。鉱山開発の際、露天掘りや廃石による自然や地域住民に影響を及ぼしています。このように、自然の原料を使用する場合には、あらゆる産業の製品製造のサプライチェーンのすべての段階で、生物多様性から生み出された生態系の恵みに依存していることになり、何等かにおいて生物多様性への影響が考えられます。

永石1

熱帯林の天然木材(コンゴ共和国 2012年9月)

 

永石2

パームヤシのプランテーション(インドネシア 2014 年3月)

 

生態系サービスと企業の事業活動

2005年に発表された「ミレニアム生態系アセスメント」の報告にあるように、基本的なレベルで、経済とビジネスは直接的あるいは間接的に生態系サービスに依存しています。生物多様性は、企業が事業活動を行ううえで、さまざまな生態系サービスを供給し、便益をもたらしています。生物多様性は、水や食糧など供給的な生態系サービスの直接的及び間接的恩恵と同時に、気候の調節や水の浄化など調整的な生態系サービスによる生態系リスクや汚染などに対する自然環境の回復力にも機能しています。したがって、生物多様性や生態系サービスを保全するということは、生態系が健全化することであり、生態系サービスが持続的に供給されることになります。その結果、企業は生物多様性の保全によってすべての経済が依存する生態系サービスを持続可能にすることができます。逆に、生物多様性の損失が進むことは、社会全体の持続可能性を脅かし、企業の事業活動の持続可能性に甚大な影響を及ぼすことになります。

By 永石

 

◆参考とした書籍

環境省自然環境局編集(2009)生物多様性民間参画ガイドライン、環境省

永石文明(2009)生物多様性、サステナビリティと本質的CSR、三和書籍

2016年3月30日
から Kitazawa
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企業人のためのエコロジー入門(No.2「レジリエンスと生物多様性」)

本シリーズでは、 生物多様性に取り組む人が知っておくべき生態学の知識について、ポイントを絞ってお伝えします。

その2 「レジリエンスと生物多様性」

 

最近、「レジリエンス」という言葉を聞く機会が増えてきました。“経済危機や自然災害などのアクシデントから回復する社会の力”として社会・経済の中で広く使われるようになっていますが、もともとは生態学の用語で、何かのアクシデントに対する「対応力」(正確には“かく乱の影響を受けた生物群集が元の状態に戻る速さ、および許容できるかく乱の程度”)といった意味で使われていました。2013年のダボス会議において、グローバル経済リスクに対する日本のレジリエンスが国際競争力の高い国々の中でとびぬけて低いと指摘されたことが、レジリエンスに社会の注目が集まっている理由の一つです。

図1生態系は本来、このレジリエンスを備えたシステムです。例えば、台風や山火事によって森林が破壊されたとしても、しばらく経つと元々あった森林が再生してきます。レジリエンスのような生態系を安定に保つ機能は生物多様性との結びつきが深く、大雑把に言えば生態系を構成する種が減るほどレジリエンスも低下してしまいます(右図参照)。
では生態系のレジリエンスを保つためにはどうすればよいのでしょうか。それは本来の生態系を構成する種をできるだけ減らさない、減っている場合は再生する、ということに尽きます。生態系の中で果たす役割は種ごとに異なります。かく乱の影響からすぐに回復できる種もいれば、時間がかかる種もいます。多くの資源や空間を占めてしまう種もいれば、ほんのわずかしか使わない種もいます。しかしどんな種であっても、他の種とのつながりは不可欠です。生態系が劣化するリスクを避け安定した状態を保つためには、できるだけ種を減らさないという予防策が最も望ましい対策なのです。

安定化のために異なる特徴を持った要素を組み合わせるという予防策は、投資におけるポートフォリオの効果と同じことです。生物種でも金融商品でも、構成要素の多様性が高まれば、全体(生態系や全資産)としての安定性が高まることは共通のようです。

 

多くの種が絶滅の危機に瀕している現在、生態系のレジリエンスをまもるために生物の多様性を保全することが不可欠、というイメージが湧いてきましたか?今後の見通しがつきにくい現代社会であるからこそ、事業活動でもCSRでもレジリエンスを重視できる企業こそが生き残っていく時代に入っているのかもしれません。

 

◆参考とした資料◆

内閣官房ナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会(第1回)資料8

van Ruijven and Berendse (2010) Diversity enhances community recovery, but not resistance, after drought, Journal of Ecology, 98(1), 81-86.

 

by 北澤哲弥

2016年3月26日
から Kitazawa
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企業人のためのエコロジー入門(No.1「成長の限界」)

本シリーズでは、 生物多様性に取り組む企業人が知っておくべき生態学の知識について、ポイントを絞ってお伝えします。

その1 「成長の限界」

 

人口増加と経済成長が今のまま続けば、100年以内に人間社会は食料等の資源不足や環境汚染などによって限界を迎えるだろう

これは、ローマクラブ1972年の報告書「成長の限界」が指摘した内容です。報告書が指摘した後も人口と経済の成長は続き、気候変動や生物多様性の劣化といった課題が顕在化しています。

 

図1数の増減と環境の関係は、生態学のメインテーマの一つです。ネズミ算式に増えるとよく言いますが、環境が整っていれば生物は本来の繁殖力にあった速さで増加します。その速度は種によって大きく異なります。例えばアフリカゾウは成熟するまでに十数年かかり、次の子供を産むまでのインターバルも十年近くになりますが、同じ哺乳類でもハツカネズミは数か月で成熟し一年中次から次へと子供を産んで繁殖します。そのためゾウは一度数が減るとなかなか回復しませんが、ハツカネズミの場合は環境がよければまさにネズミ算式に数を増やすことになります。

しかし、こうした急激な増加はいつまでも続くわけではありません。餌の量や空間には必ず制約があるため、やがて数の増加は頭打ちになります。こうした資源の制約による個体数の上限を、生態学では「環境収容力(Carrying capacity)」といいます。

企業の成長ステージでも、同じような変化パターンが見られます。新規分野を開拓した企業は、当初は少ない従業員から出発し、急速な事業拡大にともなって従業員数を増やし、やがて市場が飽和するとそのキャパシティに合った数の従業員になります。生態学(Ecology)と経済学(Economy)という言葉は、ともに同じ“oikos(家・共同体)”というギリシャ語に由来し、システムの変動や環境との関係を扱うという点も同じであるため、上の例のように相通じるものが感じられます。

 

さて、近年シカが増え図1すぎて、農林業被害だけでなく、生態系にも大きな影響が出ています。右の写真は東京都奥多摩町で2005年に撮影した写真ですが、シカの背の届く高さまで、樹木の葉が一枚もなくなっています。シカによって境界線が引かれているように見えるので、ディアラインと呼ばれます。シカがもっと高密度になると、樹皮まで剥いで食べてしまうため、樹木が枯れて白骨樹の森になっているような場所もあります。

なぜシカは高密度になっても増加速度が低下せず、生態系を荒廃させるほど増えてしまったのでしょうか。色々な意見がありますが、理由の一つに、食べる餌を変えることができるというシカの特性があります。普段は葉っぱの細い草を食べ、それが無くなると他の草や樹木の葉を食べ、それもなくなると落ち葉や樹皮を食べるといったように、状況に合わせて食べる餌をどんどん変えていくことができます。すなわち、シカは自ら環境収容力を引き上げていくことができるということです。しかし環境収容力を極限まで高めて高密度に達したシカの集団は、ちょっとした環境の変化(例えば大雪や極低温など)によって大量死(クラッシュ)を引き起こすことが、知床のエゾシカ集団で観察されています。

 

翻って私たち人間はどうでしょうか。狩猟採集の時代、稲作農耕の時代、そして近代科学の時代と、人間は新しい技術を開発するたびに人口の上限を増やしてきました。現在、約73億人に達した世界人口が、一(いち)生物であるヒトの環境収容力をとっくに超えているのは明らかです。といっても、シカと同じ轍を踏まないための選択肢はまだ残されています。環境負荷を減らすゼロエミッション、生態系サービスの持続可能な利用、それを支える生物多様性の保全といった取り組みによってレジリエンスを高めることができれば、私たちの社会を安定した状態で継続させていくことができるでしょう。

生物多様性の保全が叫ばれるなか、企業への期待は一層増してきています。余裕があるから保全に取り組むのではなく、社会の一員として企業活動の中に当たり前のように生物多様性保全が組み込まれているという状態が、これからの企業には求められていくのではないでしょうか。

 

◆参考とした書籍◆

鬼頭宏(2007)図説 人口で見る日本史、PHP研究所

 

by 北澤哲弥