「人と自然が支え合う持続可能な社会の実現」を目指す企業です。

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代表挨拶

社会に浸透しつつある生物多様性の視点

2005年に国連がおこなったミレニアム生態系評価の報告は、生物多様性に対する世の中の見方を大きく変えるインパクトを持ったものでした。私もその内容に衝撃を受けた一人です。この報告は、生物多様性や生態系サービスだけでなく、その変化が人間の福利にどのような影響をもたらすかに着目し、そして人間の福利を守るためのシナリオが呈示され、生物多様性と人間の暮らしが深くかかわっていることを明確に示すものでした。その後、人類の生存や生活の豊かさにおける生物多様性の多様な価値が社会的に認識されるようになり、企業や自治体による取り組みが進み始めました。

2012年、私は熱帯林における生物多様性の保全と生態系サービスの持続的な利用、さらに地域社会の福利に対して取り組みを進める先進企業の活動現場を視察する機会がありました。地域社会が共有する生態系サービスについてのリサーチや、生態系の調査、さらにはそれを取り巻く地域コミュニティを含めた保全・振興に対し、企業が経営課題として本気で取り組む姿がそこにはありました。

生物多様性保全の最終目標は「人間社会と生態系の相互作用系」を守ること

現在、生物多様性に関わる課題は、生物の保全や保護、自然資源の持続可能な利用にとどまらず、南北問題の利益配分や先住民の権利、遺伝子の組み換え、栽培品種のモノカルチャーなど様々な範囲に広がっています。このような地球規模の課題に取り組む目標として、2000年に国連が採択したMDGs(国連ミレニアム開発目標)がありました。これが2015年に終了するにともない、2016年からは新たな目標であるSDGs(国連持続可能な開発目標)がスタートします。SDGsには人類が健康で安心・安全に良好な社会関係を維持し、選択と行動の自由を保障するための17の目標が示されています。その中には、水域・陸域生態系の保全と持続可能な利用、持続可能な農林水産業の推進など、生物多様性保全に直接関わるゴールが新たに明記されました。また企業活動と深く結びつく項目として、持続可能な消費および生産形態の確保なども設定されています。

これらの目標は一つ一つが独立していますが、ある地域で実際に活動をすると、お互いに強く結びついていることに気がつきます。例えば、エネルギー革命や過疎高齢化が里山の生態系に大きな変化をもたらしたように、ある地域の生態系は、その地域の文化や経済の状態によって大きく左右されます。同時に、食や建築、祭りといった社会文化も、周辺の生態系から強く影響を受けて醸成されたものです。このことを考えると、生物多様性保全の究極的な目標は、人間社会と生態系が支え合う相互作用によって成り立つシステムを保全することだと言えるのではないでしょうか。

生物多様性を軸にして社会を豊かにする

私たちエコロジーパスが生物多様性にこだわる理由は、生物多様性を保全することが生物や生態系を守ることだけにとどまらず、自然資源の持続可能な利用と遺伝資源の衡平な分配に基づいた豊かで持続可能な社会を実現させることにつながると考えているからです。私たちは、調達や操業などバリューチェーン全体を通した生物多様性との関係性の把握、負荷と機会の明確化、さらには現場での生物調査や保全活動、環境教育の戦略的な取り組みを支援し、企業の環境経営をトータルにサポートいたします。そして、その取り組みの目標は、生物や生態系を守ることだけにとどまらず、企業・生物多様性・地域社会のつながりを深め、地域コミュニティとのネットワーク構築やパートナーシップをすすめていくことにあります。

2015年12月には、アソシエイト会員としてグローバル・コンパクトに署名しました。人権と労働、環境、腐敗防止の10原則を守るべく、本業だけでなく社会貢献においてもCSRを推進していきます。
皆様と共に活動できる日を心待ちにしております。

代表取締役 永石文明